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Bnkamura アートギャラリー


ソールライター展

ソールライターはニューヨークの写真家です。
1950年代からニューヨークで活躍しながら、1980年代には商業写真から退きました。
そんなソールライターが世に知られることになったのは、2006年にドイツのシュタイデル社によって作品集が出版されたのがきっかけです。
わたしはソールライターについて、ファッション雑誌の写真家としてしか知りませんでした。写真は独特で雰囲気があり、そこに写る人物だけではなく、その空気感や雰囲気を一枚に収めてしまうようです。そしてそれは誰とも共有することのない、ソールライターの独自の視点でした。

今回の展示で特に印象的だったのは、ソールライターが日常的におさめていたような、風景の写真です。「見るものすべてが写真になる」これは彼の言葉ですが、本当に何気ない町の風景、自分ならば気にも止めないような人々がそこには写り込んでいました。そしてそれらはわたしに、日常のうつくしさを気がつかせてくれました。雪や雨によって変化した空気、ひとが歩く道、この世界には風景があって、そこでたくさんの人がいきをしている。そんないきを感じさせるものでした。特に彼の写真には傘が写っているものが多かったのも印象的です。キャプションにもありましたが、彼は特別に傘が好きなようです。
だれかの好きなものやうつくしいと思った風景に、時代と国境を超えて触れられること、そんな写真の良さを感じさせてくれました。