東京トホトホ

東京のあれやこれやと紹介します

わたしが歩く吉祥寺

今、至る所で海外から日本に来た留学生と出会います。みんな日本が大好きで、そんな人たちと話していると、自分が気がつかなかった「日本」そして「東京」について気がつかされることがたくさんあります。また、海外に行ったときにも「東京から来ました。」というと、すごい町からやってきたねと、リアクションされることがたくさんあり、その度に「東京ってなんだろう」と東京について考えさせられるのです。
わたしは「東京」にずっといるために気がつきませんでしたが、どうやら「東京」ってすごいらしい。そんな思いがあるときからふつふつとわきあがってきました。

 海の向こう側から来たひとと話してみると、東京とは、「原宿」「ファッション」「クレイジー」「着物」「わびさび」そんな単語があげられます。確かに、きゃりーばみゅばみゅの出現により、日本の特異なファッションは世界中にひろがり、たくさんのファンがいます。そんな東京のイメージを聞いて、今度はわたしが思う東京について書いてみようと思います。

私にとっての東京、それは「吉祥寺」です。新しいビルが増えてはいるものの、商店街の一部には「思い出横町」と名付けられた路地があり、そこには昔ながらのお店が並んでいます。魚屋さんやたいやき屋さん、居酒屋など、そこには人がありそれぞれの関係があります。また南口を出た井の頭公園の周りには、新しいお店と昔からあるお店が心地よくならんで、それはどれも吉祥寺らしく馴染んでいます。
吉祥寺にはそんなちいさな文化がまだ根強く残っていて、それがこの駅の風景なのだなあとよく思わされるのです。私は今では少なくなっている、そこにしかない文化が好きです。オリンピックに向け、東京の街並が新しくなっていきますが、このような古き良き町がいつまでも残ればいいなと思います。

Bnkamura アートギャラリー


ソールライター展

ソールライターはニューヨークの写真家です。
1950年代からニューヨークで活躍しながら、1980年代には商業写真から退きました。
そんなソールライターが世に知られることになったのは、2006年にドイツのシュタイデル社によって作品集が出版されたのがきっかけです。
わたしはソールライターについて、ファッション雑誌の写真家としてしか知りませんでした。写真は独特で雰囲気があり、そこに写る人物だけではなく、その空気感や雰囲気を一枚に収めてしまうようです。そしてそれは誰とも共有することのない、ソールライターの独自の視点でした。

今回の展示で特に印象的だったのは、ソールライターが日常的におさめていたような、風景の写真です。「見るものすべてが写真になる」これは彼の言葉ですが、本当に何気ない町の風景、自分ならば気にも止めないような人々がそこには写り込んでいました。そしてそれらはわたしに、日常のうつくしさを気がつかせてくれました。雪や雨によって変化した空気、ひとが歩く道、この世界には風景があって、そこでたくさんの人がいきをしている。そんないきを感じさせるものでした。特に彼の写真には傘が写っているものが多かったのも印象的です。キャプションにもありましたが、彼は特別に傘が好きなようです。
だれかの好きなものやうつくしいと思った風景に、時代と国境を超えて触れられること、そんな写真の良さを感じさせてくれました。

なんと80分待ち

東京・六本木にある新国立美術館
ミュシャ展を観てきました。
新国立美術館
あのうねうねしたガラスの建物です。建築としてもとても見応えのある建物ですよね。
入るなり、一番最初の部屋に一番大きな絵が展示されていました。

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このフライヤーでも使用されている作品です。正直、これだけでも行く価値はあります。とにかく素晴らしい作品でした。大きく、迫力のある作品でした。
なので、これだけ目当てでも充分です。
天への祈る力が伝わってくるように感じました。
絵を観ていると不思議と祈るパワーが共鳴するというか、心にドシンとくるような感じがしました。
強く願う、祈るという行為が大きな存在を生み出しているようにも思えます。
神が先か、祈るのが先か、、、ということを考えてしまいます。

私が面白いなと思ったのが、習作の一部の展示です。
完成された絵はとてもとても大きな作品ですが、習作の一つ一つはとても小さい(3㎝)人などが小さいノートに数人か書かれている様子です。
小さい絵が大きくなるスケールも個人的に楽しめるポイントでした。

実はミュシャ展が終わりに近づいているという事で入場が80分待ちで建物の外まで伸びている状態でした。(行く予定の方は、お気をつけて!)

しかし、このように美術館に列をつくる様子を見ているとまだまだ安心できますね。
アートを楽しむ心の余裕はとてもだいじですよね。
ぜひ、みなさん美術館に列を作ってみて下さい笑。というのは冗談ですが、上手く行かないときこそ遊びや余裕を大切にしてみてはいかがでしょうか。

ワタリウム美術館

昨日、東京・渋谷区にあるワタリウム美術館というところへ行ってきました。
最寄りの駅は外苑前駅です。
お目当ては『坂本龍一|設置音楽展』というインスタレーションです。7年ぶりにリリースされた坂本龍一さんのアルバム『async』を改めてインスタレーションとして作られた展示です。

(ここからアートの面倒くさい話が始まりそうです、、)
「音は一緒でしょ?どう違うの?」という人もいると思います。
確かに音は一緒です。同じ音楽ですし、基となっているアルバムは一緒です。
何が違うかというと、こうなります。
「雰囲気が違う」
「作品として違う」
そりゃそうでしょ笑
となりますが、この雰囲気の違いが今後の生きるために必要な何かではないのかと漠然と考えています。
話はそれそうですが、そのまま逸れてみましょう。
少しだけ真面目に言うと、聴く機械やスピーカーの位置、壁の素材、お客さんの様子、他の展示物、空間の広さなどなど
これが作品の音に影響しています。
ということは、これらが音を構成している一部とも考えられるのです。

この設置音楽展は制作に関与した場所や物が映像作品として使われたりしています。
これも音源のみとは大きな違いですね。音のデータは一緒なので人によっては同じ音楽と捉える人もいるかもしれません。確かに音は一緒です。
しかし、作品としては別物になります。
どう考えるかは自由なので、正直どうでも良いことなのですが笑、このように人によって或は環境によって変わるもの。でも、同じものといえば同じもの。というものはありますよね?
例えば、食べ物や色の見え方、現金など、、、考えれば全てそうじゃないか?と考えてしまいます。
話がどんどん逸れますね、すみません。

ということで、作品の情報、感想を!
電子音楽というかノイズを上手く操って、音楽にする力を感じました。
すごい尖っていて尊敬します。(結構お年を召しているのにアグレッシブです)
その中にも、見え隠れする日本らしさが私たちを新しいものへと引き寄せて馴染ませているようにも思えます。
色々なものを取り入れつつも、芯はしっかりしている。
ちょっと聴いただけで「坂本龍一の音楽だ」とわかるものがありますね。とても勉強になりました。
私も芯のある記事を心掛けたいと思います。

六本木の上空で

六本木 森美術館
先日、六本木の森タワーにある森美術館に行ってきました。
N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅
という展示が開催されています。

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インドのアーティストならではの被写体やモチーフが使われていました。
どことなく、可愛らしいマットな雰囲気に心が癒されるような作風ですね。


それだけではなく、グローバル化されていく中の混乱なども表現に取り入れられていました。そしてその表現に触れていると日本の東京に生きているだけでは得られない感覚を刺激されているようでした。
慣れ親しんでいる〝今〟の生活がどんどん滅んでいくような哀しみを想像しました。

グローバル化になっていくことで便利になる事はあるものの、やはり失われていくものもあります。
私自身感じたのは、人々の温かさや豊かさが失われていく感覚でした。そしてそれが失われるという事は、大げさに言えば恐怖に繋がるだろうと考えました。

かつて、新しい科学技術は幸せをつくりだすに違いない、、と信じていた思いも
新しく生まれた科学技術が第一次世界対戦で沢山の人たちを傷つけて、

〝そうではなかった〟

と知ってしまった出来事を思い出しました。


しかし、便利になり新たな豊かさが生まれるのも事実です。この進化していく社会で、得られるものは果たして幸せなのだろうか、、
ということが大事ですよね。

その為に大事なことは簡単な事で
単に〝幸せを目的に生きる〟ことなのではないかと思いました。
そして、今の幸せに気づく量でその人の幸せの感じ方が変わるのかなと思います。

この展示は、とても哲学や宗教的なことも濃く感じられる展示でした。

資生堂ギャラリー

先日、資生堂ギャラリーという場所に行って参りました。目的はこの人の展示

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よしかわとくじさんの「光のスペクタクル」という展示です
休日ということもあり、少々並びましたが、人数調整されているため中はそこまで混雑しておらず人混みを気にせずに展示を楽しめました。
こちらのギャラリーは地下にあります。案内されて階段を降りていくと透明のカーテンを潜りスモークが焚かれた空間に入りました。もう少し進むと展示会場の入り口にたどり着きました。

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インスタレーションでは光の演出のためにスモークが使われていています。スモークはもくもくといった感じではなくほんの少しだけ霧がかかったような状態でした。なので光線はくっきりというよりは、ぼんやりと淡く光の直線が見える程度でその曖昧さがとても心地よかったです。なので視界は割とすっきりしているため、光源そのものの造形も楽しめました。

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少し話はそれますが、空間がカーテンで仕切られているという点で、作品の入口(はじまり)はどこにあるのか。ということを考えるのも面白さの1つだと思いました。作品が生み出す光が目に入るところなのか、それともスモークが途切れる境目(カーテン)が作品の境目なのか、あくまで物体が作品なのか……。考える人はそれぞれだと思います。ですが作品の境目が曖昧である点も面白いなと思いました。
 
なんだかんだ述べましたが、私かメインとして楽しんだのは、光の演出です。ガラスによって反射、屈折された無数の光は常に少しずつゆっくりと動いたり、伸びたり縮んだりしていきながら展示場内を飾っている様でした。
そのゆっくりとした光の色合いや強さの変化が生き物のような自然が生み出す神秘的な何かを感じさせてくれているように思いました。
 
ガラスと、光と、白い壁、たったそれだけなのにこんなにも生命的なものを感じさせる創造性と、それが生み出すものが無機物だという不思議さが何とも魅力的な展示でした。

ミントデザインズ〜新橋駅の一角にて〜

 

こんにちは、シブヤハナです。
先日、新橋駅(銀座)にあるクリエイションギャラリーG8へ行ってきました。
こちらでは洋服のブランド「ミントデザインズ」による企画展が行われています。
「mintdesigns / graphic & textile works 2001-2017」というインスタレーション形式の展示だそうです。
入り口を入ると、ブランドの服を着たマネキンが何体も並んでいます。まるでファッションショーのワンシーンに出くわしたような感じですね。

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マネキンが、ブランドの服を着て並んでいる中に実際に入ってみるとブランドが創り出す世界に入っていく感覚がよりリアルに感じられる気がしました。なるほど、確かにインスタレーションですね。
ハンガーやトルソーとは違い、マネキンは首の角度でも演出が加わるということも事も勉強になりますね。

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別の部屋に突き進んでいくと、生地の柄のもとになる作品が展示されていました。

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これだけでも、立派な作品ですね。切り絵や刺繍で作られたものは、いわゆる絵を描く画材とは違った雰囲気を出しています。なるほど、これが製品から出てくる独特でこだわりがあるような雰囲気のポイントなのかと感心しました。

そして次の部屋

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たくさんの生地が空間に並べられています。
シンプルな配置であるのに、素敵な空間ですね。衣服になる一歩手前の状態というのが何とも好奇心を掻き立てられます。
「生地だけでも素敵」それは、衣服を身にまとう行為をウキウキさせるための大切なポイントなのではないかな。と考えながらしばらく眺めてしまいました。

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この糸で描かれた刺繍のような気球が、ワンピースになると、、、

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作り手の暖かさがわかり、且つ新しいプロダクト、テキスタイルのあり方を提案されているようなデザイン。

一つの作品が、生地のパターンになって新しく服になる
工程を見られる展示でもありました。
何より、生地の可愛らしさがチャーミングで親しみやすさを感じました。

3月25日まで開催しています。観覧はなんと無料ですのでぜひ!

こちらが、ブランドのHP
http://mint-designs.com